ステンレスの一番の特徴といえば、やはり高級感あふれる輝きと耐久性。 もともとステンレスの定義は鉄鉱石とクロムの合金のことですが、 近年では SUS304 や SUS316 など、クロム以外にもニッケル、モリブデンといった金属を混合 することで、さらに硬く、錆びにくいものが出てきています。 塗装の必要がなく、素材自体が美しい化粧面として使えるため、 マンションのエントランスなど美観を要求される場所には頻繁に使われますが、 それだけに加工や溶接にはより高い技術が求められ、その習得には 5～10 年を要します。 この素材の美しさを充分に引き出せる匠が、残念なことに減ってきているのが実情です。

自動ドアやサッシメーカーから、サッシや自動ドアの製作図面をいただいてから、 私たちの仕事はスタートします。製作図面には平断面図、立断面図、姿図が描かれており、 そこから製品の仕上がりをイメージしながら、どのようなパーツがあればイメージ通りに 形にできるか？お客様の要求に応えられるか？を考えながら、 まずは、板や留め具といった細かい部材をひとつひとつ設計図面（バラ図）に起こしていきます。 いわば、0 から機能を作り込んでいくこの作業。今では設計ソフトを使いデータ作成して いますが、昔はすべて手作業で行っていました。そこには、部品に対するノウハウはもちろん、 想像し、創造する力やセンスも重要。このバラ図から、すべてのパーツが生まれてきます。

ステンレスの原板は、およそ 1.2m×4m という大きさ。 この板から、バラ図に応じて様々な部材を切り出し、サッシや自動ドアを組立てます。 つまり、この作業での精度が最終的な製品の仕上がりクオリティを左右する 非常に重要な工程と言えるでしょう。 単なる平らな板が、一つ一つ切り出されパーツとして意思を持ち、 それらが組立てられるにつれ製品としての姿と品格を備え、 やがて建築現場に備え付けられたその瞬間から、その建物の顔として機能する。 その一連の流れを目にできることこそが、ものづくりの最大の醍醐味かもしれません。

折り曲げ後のステンレス板の切り欠きや、文字抜きをはじめとする繊細な装飾を 可能とするレーザー加工も、むさしのメタルの誇る技術のひとつです。 3 次元展開ソフトを活用し、高い技術を持つ経験豊富なスタッフがマシン性能をフルに 引き出しながら、硬いステンレスの表面に精緻に、高品質に、装飾や加工を施します。 また、このレーザー加工はアクリルなど樹脂加工にも応用できるほか、 さらなる用途や加工技術の広がりを目指し、日々研究・努力を重ねています。 あなたのひらめきやアイデアを、ここで活かしてみませんか？